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ツアー生活(2)
《流れ者系ツアー》は、いわゆる普通のツアー。ツアーと聞いて通常連想されるのはこの形態である。つまり街から街へ一日ごとに渡り歩き、移動を続けるスタイルである。

この方式だと当然連泊は不可能だ。時間と体力のロスを軽減するには、宿から宿への流れが最大の鍵となる。

一番やってはいけない事は、10時チェックアウトの宿の翌日に16時チェックインの宿を予約することだ。

これはそもそも「9時には起きないといけない」のがネックとなる。
朝寝坊と思われるだろうが、ツアーにおいては9時までの睡眠では足りない場合が多いのである。
ギターのソロ演奏というのはものすごい体力を消耗する。ステージに立ったらもうそこには逃げ場がない。小さなミスをフォローし合う相方もおらず、一人でミスを予測しフォローにも回らなければいけないのだ(*注1)。17時頃のリハから始まり、22時頃の終演までは心身ともに緊張状態を強いられる。

そして、その後は楽しい打ち上げが待っている!
だがこの打ち上げ、たとえ心は存分に開放されても身体の方はけっこう活躍してる場合が多い。それでも楽しさにまかせてついつい長居してしまうものである。そもそも楽しい打ち上げといっても次につながる貴重な時間でもあるので、心もどこかしら緊張してるはずだ。

そして打ち上げが終わるのが早くて23時。遅くて4時。
まあ幅のある話だが、翌日の本番を考えると9時起きはちょっと気が重い。

そして寝不足のままチェックアウトしたとして、10時〜16時の魔の6時間を一体どうするのか。


チェックイン時間を甘く見ると痛い目にあう。
とあるビジネスホテルにチェックインする時の話。「少し早めでも入れてくれるだろう」と高を括っていたら、なんとホテルの入り口にシャッターが降りている!
ホテルに電話をかけても誰も出ず、経営元会社に電話したら「そこは16時にならないとフロントが来ません」との冷たいお言葉。ビジネスホテルには人が常駐しているものだという考えは甘かった。
結局近所をあてもなくぶらぶらするしかない。

こういう事にならないためにも、チェックイン/アウトの時間は大事な項目として扱いたいものだ。


理想は100キロ圏内の移動で11時アウト〜13時イン。
11時アウトならば2度寝だってできる。そして移動しながら食事してちょうどの時間にインできるのである。ううむグレイト。
それでもライブ会場入り前の時間が空くのは変わらないが、チェックインしてるかしてないかで心の余裕が全然変わってくる。荷物を一旦宿に入れるとフットワークが俄然軽くなるのは車移動の場合でも同じ。楽器を車に長時間置いて何かをする気にはなれないものだ。

知らない土地でぶらぶらするのは楽しいものだが、「ぶらぶらを強いられる」のは楽しくない!

空白時間をなるべく少なくする計画が肝要である。


《流れ者系ツアー》の項 つづく

*注1
そもそもミスをしないように練習する事が大事なのは言うまでもない。
とはいえ本番ではミスを気にするよりも、音楽が止まらないようにする事の方がはるかに大事である。不意のミスを心のどこかで予測し、別の経路からフォローする(これを俗に「ごまかす」とも言う)作業が必要。
自分の場合は、指の流れとともに曲のコード進行を把握しておいてフォロー(ごまか)している。
author:伊藤賢一, category:ツアー生活, 08:14
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ツアー生活(1)
ソロギターによる演奏活動を初めて11年目。
じわじわと活動範囲を広げ、地元である東京以外の各地での演奏旅行も頻繁に行うようになってきた。

所謂「ツアー」と呼ばれるものだが、言葉の華やかなる響きから連想されるものよりも(私に限っては)、その実ずっとずっと地味なものである。
地味すぎて、時には地を這いつくばっている感さえあるが、普段と違う土地で、または初めて踏む地での演奏は楽しく刺激的であることは間違いない。ひとつの生きがいと言っても過言ではない。
そしてそこにはツアーならではの生活、習性、アクシデント等々が存在する。

そんな私のツアー生活について、思いつくままに綴ってみようと思う。
というか失敗談ばかり羅列する事になりそうだが、そこは「馬鹿な奴だ」と笑ってもらえれば幸いである。


【基本データ】
演奏者:伊藤賢一
演奏形態:ソロギター演奏
移動手段:車
主な荷物:ギター2本、CDの箱、着替え、音響機材


【1】日程
ツアーである以上、当然日程を組まなければならない。単発興行は稀である。
日程の組み方には《拠点系》と《流れ者系》と《複合系》がある。(ある、というか私が勝手に命名した)

《拠点系》は、基本的に一つの宿に連泊し、近辺の土地を回るスタイル。
《流れ者系》は、ライブを行いながら転々と宿を渡り歩くスタイル。
《複合系》は、上記2つを組み合わせたもの。


《拠点系》は理想の形である。何故なら連泊できる事により身体への負担がぐっと減るから。
私にとっては北海道ツアーが拠点系の代表格。札幌の常宿に毎年9〜11連泊するのである。

ツアーにつきものの大荷物も一旦宿に入れてしまえば移動の必要がない。このメリットは実に大きい。ギター2本に加え、CDの大箱や着替えのバッグ、機材バッグなどを一泊ごとに移動すると、しまいには泣きそうになる。

そして連泊ならば好きなだけ寝ていられる。
通常、宿のチェックアウト時間は10時〜11時。次の宿のチェックイン時間は14時〜16時。この空いた時間がクセモノなのだ。この時間は少なくとも起きてないといけないからだ。

連泊ならばたとえ前日の打ち上げが夜中の3時までかかろうとも、しかるべきタイミングで起きてゆっくりライブの準備ができる。

以上の理由で《拠点系ツアー》は、演奏により集中できる状態といえるだろう。

ただデメリットもある。あまり宿を離れて遠くへ行けない事だ。
拠点系になるとどうしても近い場所で何度も演奏することになってしまい、その点が不利である。
であるなら、拠点を維持しながら少々離れた地域へ演奏に行っても良いのではないか・・・?
これが全く良くない。私はこれで何度も失敗している。

過去一番の失敗は、札幌で連泊しながら釧路での演奏を入れた事。
もちろん釧路のお店は素晴らしく、ライブもとても楽しくできたのだが、札幌〜釧路間の、車で片道5時間という行程は思いのほか厳しいものであった!
19時半から2時間弱演奏して、お客様と懇談して、22時にお店を出て、宿に帰ったら3時である。これはさすがに身体の芯にきた。過去にさかのぼれるものなら、その時の私に一言言ってやりたい。

もう一つの失敗は、倉敷と西宮での演奏がある時に、ちょうど中間点である姫路に連泊した事。
これは今こうして文章にするのも恥ずかしいほど、バカな事をしたと思っている。
倉敷〜姫路、西宮〜姫路もちょうど100キロ。100キロといえばすぐなようだが、演奏したあとの運転は相当に疲労する。
しかも最終日の西宮が終わってから、東京の私の家から遠い方へ100キロ移動するという愚行。
まあ宿はリーズナブルで良いところだったのでその点は良かったが。・・いや良くない。これは猛省しなければいけないところだ。
200キロ離れた会場での演奏ならば、後述《流れ者系ツアー》に切り替えるべきであった。


《拠点系ツアー》の注意点として挙げられるのは、宿の選定。連泊だからこそ宿は吟味したい。

以前関西方面で拠点系ツアーを組んだ際の宿は、宿とも呼べないところであった。
「工事現場でよく見られるプレハブの事務所の大きなもの」のような建物。そこになんと50もの部屋が仕切ってある。
広さはおよそ3畳。部屋に鍵は付いてるが、隣の部屋との境目は薄い断熱板一枚。いびきはもちろん、寝返りさえも丸聞こえだった。たとどんなに安くても、こういう所に連泊してはいけない。泊まれば泊まるほど体力が奪われるばかりである。

宿については話題が沢山あるので後ほどまとめてみたいと思うが、基本的にツアーではビジネスホテルを選ぶようにしている。

つづく
author:伊藤賢一, category:ツアー生活, 22:55
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